2014年11月30日日曜日

DTM講師を7年間務めて思うこと

DTM講師のあるべき姿とは?



「DTMを使えば、簡単に音楽が作れる」と言ってはいけない

DTMの最大の欠点を認識すべきである




当DTM教室が開業した7年前(記事執筆時)には、大手音楽教室しかなかったDTMを教える場所。
現在ではたくさんのDTM教室が開業し、大都市圏では相当な数までになっています。


Step One DTM School自由が丘教室は、その中でも多くの受講生様に選ばれ、音楽大学作曲科卒の現役作編曲家がひとりでレッスン運営しているところに、300名様を超える受講生登録をいただいているため、ほぼ個人レッスン予約1ヶ月待ちの状況が長らく続いております。


なお、業態で考えれば街の個人運営ピアノ教室と変わらないStep One DTM School自由が丘教室が、皆様に支えられ、ここまで成長出来たのは、講師の実力だけではありません。



それは、「アマチュア音楽家にとって、音楽を作ることを身近に感じられるようになった」の一言に尽きます。


しかし、音楽を作ることは簡単でないのが現実です。


音楽を作ることが一見簡単に見えるようになったのは、パソコンの普及、DTM/DAWソフトの低価格化、テクノロジーの進歩のおかげですし、私もその恩恵を享受していますが、Step One DTM School自由が丘教室にお越しの受講生様において特に壁になるのが「楽器演奏スキルの有無」で、ここが難儀な問題となります。


そもそも、音楽を作るということは、楽器演奏スキルの上に成り立つものでした。
楽器を演奏することは、音楽を作るための基礎体力を得る一番簡単な方法ですし、「楽譜通りに演奏することがつまらなくなってきた」「タブ譜を追っかけてるだけでは飽き足らなくなってきた」という方が、「オリジナル曲を作りたい」という欲求を持つようになる…私も含め、これが昔から王道とされる作曲家(プロ/アマ問わず)への道です。


「楽器演奏出来ないから…」という理由でDTMに興味を持たれる方は多いのですが、実際楽器演奏が少しでも出来る方と、まったく出来ない方では、その後の伸び方に大きな開きがあります。


そのため、Step One DTM School自由が丘教室に初めて来られた段階では楽器がまったく演奏出来なかった方も、本当に「音楽を作りたい!!」という欲求の強い方には、DTMで音楽を作っていくにあたって必要最低限の楽器演奏スキルなんて数ヶ月で身に付くレベルですから、ご相談の上、当教室でキーボードやギターをお教えするという流れになります。


もちろん、「出来るだけ楽に…」というのが人情ですから、楽器演奏がまったく出来ない方に、キーボードやギターのレッスンを無理矢理押し付けることはしません。


むしろ、楽器を練習することより、音楽理論を学ぶことの方に前向きな受講生様が多いので、1年間かけて試行錯誤の上に完成したStep One DTM School自由が丘教室オリジナル音楽理論教材でカバーします。


でも、音楽を作ることが簡単でない理由は、数百年に渡る西洋音楽の歴史と、20世紀に劇的な進化を遂げたポピュラー音楽の歴史を会得するのに、それなりの労力を要するから。


「DTMを使えば、簡単に音楽が作れる」というのは、DTM講師としてはちょっと言えません。


また、「DTMは音楽を作る上で便利な道具」ですが、「便利すぎる道具」でもあるため、
DTMを使えば、音楽制作に必要な作業をひとりですべて完結出来てしまいます。


これは、DTMの最大の長所であり、最大の短所であることを、DTM講師は認識しておく必要があります。


楽器メーカーや楽器店でしたら、「DTMを使えば、ひとりですべて完結出来てしまう」という最大の長所を広く紹介すべきですが、DTM教室はそれでは務まりません。
常に、「DTMを使えば、ひとりですべて完結出来てしまう」というDTMの最大の短所と戦い続けなければなりません。


ただ、真剣にDTMの最大の短所と戦い続ければ続けるほど、多くの受講生様からご信頼いただけるものだったりします。






小規模業態の音楽教室の個人レッスンに特定のカリキュラムが存在しては意味がない

特定のカリキュラムを用意していないと謳う理由




Step One DTM School自由が丘教室の個人レッスンには、特定のカリキュラムはございません。


特定のカリキュラムを用意していない…これは、講師の気分でその都度レッスン内容が変わってしまうという弱点があると批判されることもあります。


しかし、このように言い換えることも出来ます。


個人運営の小規模DTM教室が行う個人レッスンに「特定のカリキュラムが存在しては意味がない」のです。


これは、学習塾業界に例えればわかりやすく、大手予備校に対するニーズと、小規模の個別指導塾や家庭教師に対するニーズが違う…これを音楽教室に置き換えれば良いだけです。


大手予備校には、充実した設備があります。
立派なテキストもあります。
大手に至るまでに得たブランド力があります。
そもそも、大手までに至るためには、多くのスタッフを束ねる必要があり、束ねるためには運営トップに強い経営方針が必要であり、そのひとつに「特定のカリキュラム」というのが含まれるのでしょう。


そして、この「特定のカリキュラム」に、受験生を乗せて実績を出すことが求められているし、受験生は大手に対してそれを求めているのです。


小規模の個別指導塾には、立派な設備はありません。
市販のテキストを使用することも多いでしょう。
個別指導塾は、表面上だけで大手に比べたら、見劣りする部分が多いのです。
しかし、ニーズがある。


それは、それぞれに合った指導を行うことを売りにしていて、特定のカリキュラムにはこだわっていないのだと思います。
代わりに、たくさんの指導方法を持っているのです。


言うならば、大手予備校は受け身ではなく、仕掛けるやり方。
小規模の個別指導塾は仕掛けるのではなく、受け身のやり方です。


個別指導を行うためには、最初に受験生の話を聞く必要があります。
せっかくマンツーマンなのに、目の前にいる受験生の話を聞かないなんておかしいです。
集団相手ならば、個々から話を聞くことに限界がありますが、1対1ならば、とことん話が出来るし、求めているニーズを引き出すことが可能。
そして、その点に期待して 大手予備校を選ばない受験生がいらっしゃるということです。


個別指導塾を選ぶ受験生のニーズとは…これは、Step One DTM School自由が丘教室と同じだと思います。


ニーズにお応えするのが、一筋縄では行かないことが多いのです。


一筋縄では行かないニーズ…これは、一定のやり方が通じないことを言います。
例えば「偏差値を40アップする!!」という目標が相手では、恐らく平均的なやり方ではムリでしょう。


一見無謀とも思えるニーズに対して、受験生が本気で取り組むのならば、果敢に挑戦するための指導法を持っているのが、優れた個別指導塾なのではないのでしょうか?


大手は多くの受験生を相手にしている実績と経験から、平均的なスタート地点から実績を出すことを得意とし、個別指導塾は、苦しいスタート地点から実績を出すことを得意としているはずなのです。


苦しいスタート地点から実績を出すためには、一定のやり方は通じません。
個々にやり方を考えていかなければ、成果は出ないのです。


Step One DTM School自由が丘教室の現状に話を戻しますと、そもそも特定のカリキュラムを組んで、受講生に提供する方が業務効率化を図れるのは重々承知ですが、受講生のニーズに応えるということに重点を置くと、特定のカリキュラムが作れない…これが現実です。


例えば、大手音楽教室に耳コピ(ソルフェージュ)のレッスンを申し込んだ40代男性がStep One DTM School自由が丘教室にいらっしゃいます。


その大手音楽教室は、子供向けの音楽教育においては誰もが知る非常に有名な国民的音楽教室ですが、残念ながら「40代からは難しい」と最初は断ってきたとのことです。
ただ、一応しぶしぶ入会させて下さったようですが、この「しぶしぶなレッスン」の内容がヒドいものでして…それは、カリキュラムというより、「はなから諦めている」という講師の人間的な資質の問題ですね。


まず、一般的に言われていることを申し上げます。


ソルフェージュ(耳コピ)能力というのは、年齢が上がってくるほど、習得が難しくなるというのは、確かに現実問題としてあります。
語学と少し似ているところがありまして、感覚的なものを身につけるというのは、やはり年齢が若いほど有利と言われていますし、私も高校生のときから音大受験を目指して本格的な音楽的なレッスン受けた人間ですから、3歳からピアノを始めたような人と比べたら、途方もないくらいの実力差でした。


そもそもその大手音楽教室は、子供向けにソルフェージュ能力を養うノウハウに関しては日本で一二位を争うくらいの素晴らしい教室ですし、講師になるための資格制度も完全に整備されているため、レッスン品質もある程度保たれていると思われます。


しかし、残念ながら、大人向けとなると、当然子供向けの音楽レッスンで培ったブランド力はあるものの、どの支店でも完全に確立されているというものではなさそうです。


そこで、当教室の出番です。
大手音楽教室では「しぶしぶ」にならざるを得ない状況…確かに一般論はそうかもしれませんが、この難しいニーズに果敢に挑戦出来るのは、特定のカリキュラムを持たない小規模音楽教室だからこそ。


苦しいスタート地点からのレッスンは、一筋縄では行きませんが、受講生様も頑張ってくれるからこそ、私も様々な策を講じます。
結果、1年くらい経ちますが、音感についてはまずまずの向上が見られ、現在はリズム感を身につけるというステップに進んでいます。


特定のカリキュラムなんて必要ありません。
講師の気分でもありません。
私は真剣に受講生様のニーズに応えるだけなのです。


もう少しDTM教室としてのレッスン例を取り上げます。


ミックスのレッスンを希望される方がいらっしゃるとしましょう。
データを開きます。
すると、そもそもアレンジに問題があって、ミックスではどうにもならないことがわかります。


そこで提案します。


「ミックスダウンで楽曲が化けることは確かなのですが、アレンジに問題があります。アレンジの話をさせていただけませんか?もちろん、このままミックスを進めてみて、完成像を先にお見せしつつ、そのあと、アレンジを見直す方法もあります」


しかし、明らかにアレンジに問題がある楽曲なのに、ここで、 ミックスのレッスンに特定のカリキュラムがあって、それに乗せる大手予備校のやり方をやってみましょう。
定められたカリキュラムなんだから…はい、EQです、コンプです…。


その前に…ミックスのレッスンを個人レッスンで受けたい理由を考えましょう。
簡単です。
「クオリティーの高い楽曲を作りたい」という気持ちがあるからです。
その想いから受講生様自身が考えた結果が「ミックスを学びたい」というニーズに結びついている。


でも、音楽制作の経験がある人間なら、アレンジに問題がある時点でミックスではどうにもならないことぐらいわかります。


そうです、「DTMを使えば、ひとりですべて完結出来てしまう」のは、DTMの最大の欠点でした。
整理して1個1個潰していかなければなりません。


つまり、Step One DTM School自由が丘教室に寄せられるニーズに応えるためには、ある一定のミックスダウンカリキュラムなんてものでは解決出来ない…一筋縄ではいかない…だから、特定のカリキュラムが存在し得ないのです。


Step One DTM School自由が丘教室は、お世辞にも大手音楽教室と肩を並べるくらいの業態規模ではありません。
また、この先、この教室の業態規模が現在よりも多少大きくなることはあっても、大手音楽教室と肩を並べることはありません。


それは、Step One DTM School自由が丘教室が個別指導塾と同じ経営スタイルを持っているからです。
その代わり、たくさんのレッスン手法を持っていて、新たな受講生様との出会いがあればあるほど、レッスンを行えば行うほど、新たなレッスン手法が受講生様と一緒に編み出されています。







DTM講師のあるべき姿とは、DTMオタクではない




DTMを使った音楽制作作業は、パソコンに向かって一人で黙々と作業することが多いため、引きこもりな感じになります…。


こういうの、たぶんオタクっぽい作業と言ってよいのでしょうね。
正直、あまりカッコいい感じではないです。
女性に「DTMやってる姿、カッコいい!!」と言われたこともありません。


レッスン終わったら、〆切に追われて曲作り…これだから、自宅と仕事場の往復しかほとんどしていませんし、睡眠時間を削ることも多いです。


そもそも、私が音楽の道に進むキッカケは、打ち込みで一人で音楽が作れることを知ってしまったから。
音楽を作る手段として、紙と鉛筆とピアノを選ばなかったのは、まさに、DTMが「夢の道具」に見えたからです。


そうなれば、DTMに関して詳しくなります。
そりゃ、DTMオタクになります…。


しかし、DTMオタクのノリで人に教えようとすると、「知識のひけらかし」と「知識をお伝えする」との境界線がわからなくなります。


私も、DTMオタクですから、「このプラグインが最高なんだ!!」「このシンセ最高!!」とか言いたい人です。
求められればいくらでも喋りますし、レッスンの中でそんな話題をしないわけではありません。


でも、DTM講師としては、「このプラグインが最高です!!」ということはあまり言いたくありません。


作編曲家としては、「このコード進行がカッコいいと思ったから」とか、「このプラグインでこれぐらいかけたら良いと思ったから」という…非常に感覚的な作業を繰り返していますが、でも、「このプラグインが最高です!!」って…これ、伝わります??
伝わりません。
自分にとって最高なだけで、相手にとっては違うかもしれない。


受講生様も様々ですから、「このプラグイン最高なんです」とお伝えするだけでも、満足していただける方がいらっしゃいます。
Step One DTM School自由が丘教室を「音楽の話が出来る場」として考えて下さっている方です。


日々音楽しかやっていない人間にとって音楽の話をすることは日常茶飯事ですが、まわりに音楽仲間がいない…という事情で、私と音楽の話をすることが日々の活力になるというニーズもあるのです。


ただ、Step One DTM School自由が丘教室にお越しの方は、「音楽を作りたい」と考えているのも事実。


「音楽を作りたい」というニーズに対して、「このプラグインは最高です!!」というのは、答えになっていません。
しかし、DTMオタクは、そういう知識のひけらかしをしたくなってしまうのです…自分への戒めも含め…ですが。


もし、「このプラグインが最高!!」ということをお教えしたいならば、具体的な説明を加えなければなりません。


「オレ、知ってるんだぜ!!」という自負は、人にお教えする上で持っていなければなりませんが、「教える」ということと、「知識のひけらかし」は完全に種類が異なるもの。


ただ、DTMで音楽を作るという作業は、非常にオタクな世界でして…というか、一人で突き詰めていくという作業がオタクを生みやすい…いえ、オタクじゃなきゃやってらんないってことですね。


DTM講師は、DTMに詳しい人間がやるべき仕事です。DTMオタクがやるべきものではありません。
しかし、オタクと呼ばれる人が陥りがちな問題を認識していれば、DTMオタクはDTM講師を務めることが出来ます。


私もつい回りくどい説明をしてしまいがちなので、日々反省しながら、レッスン中は「知識をお伝えする」ということに集中するようにしています。


結果、具体的に実践出来ることと言えば、「ニーズを把握すること」
これがDTMオタクである私がDTM講師として心がけていることだったりします。







最後に




DTM講師という職業が成り立つようになったのは、ここ数年の話。
DTM教室がたくさん開業されたのも、ここ数年の話です。


ただ、恐らくピアノの先生をやっています…バイオリンの先生をやっています…というのは、世間一般的に認知されていると思いますが、DTM講師というのは、そこまで認知されていないと思います。


実際、音楽関係者ではない方に自分のことを説明する際には、DTMという単語が通じないことが多いため、「作曲家やりながら、作曲を教えています」と言います。


しかし、これからもっともっとDTMは身近になります。
音楽を作ることは、何も特別なことではないことがもっと広く認知されるはずです。


また、音楽講師をしながら作曲家を名乗ることについて、これについてもあれこれ非難の対象になることがありますが、私は、自分の所属する作家事務所にも「DTM講師であることを大切にしたい」と明確に伝えています。


「音楽業界の墓場」とまで言われる音楽講師ですが、そう言われるのであれば、私は作曲家として何も実績がない頃からDTM講師をやっていますので、最初から墓場にいます。
ただ、死んでいません。
そこで、音楽講師業は墓場と言われることに対しては、「音楽業界のゾンビとして生きています」と答えます。


音楽ファンあってのプロですし、実際作編曲家と音楽ファンの距離は結構遠いのが現実ではあるものの、いくらCDが売れなくなって、違法ダウンロードが横行したとしても、DTM教室を通して、音楽の楽しさを伝えていくことは重要だと思いますし、特にプロ志向ではない、趣味で音楽作りを楽しみたい方こそ、本当の音楽ファンだと思いますので、大切にしていきたいです。


Step One DTM School自由が丘教室が掲げる経営方針は、音楽ファンの音楽作りに対する夢を実現するお手伝いすること。


私は、プロの作編曲家としての活動もさることながら、そのようなお手伝いが出来たら本望だと考えています。


※当教室の経営方針にご賛同いただけるDTM講師を募集/採用いたします。詳しくはこちらをご覧下さい





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