Cubase 10にアップグレードすべき方とそうでもない方とは?

Cubase10

Cubase 10が発売されました。

毎年秋頃に0.5ずつバージョンアップするというのが恒例になっているCubaseなので、この時期に出てくることはCubaseユーザーでしたら織込み済みであったと思いますが、「あっ、そうなんだ」と思ったのは、iPhoneのように「Cubase X」にはならなかったことでしょうか。

さて、曲の作り方そのものを大きく変えてしまうアップグレードというより、手堅く、少しずつ作業効率が上がるような新機能を付けてきてくれるのがCubaseですが、まずは、今回のアップグレード内容で個人的に興味があるもの、逆にないものを挙げてみたいと思っております。

興味があるもの1「Vari Audio3」

Vari Audioは、ボーカルのピッチ修正機能で、Cubase Proのみ使える機能です。

なお、このVari Audio機能、私はMelodyneの方が細かくエディット出来ることから、あまり積極的に使っていません。

参考 業界標準ボーカルピッチ修正ツールMelodyneとは?celemony公式サイト

Vari Audioを使うケースは、ハモをエディットで作るときに、しかも、たまに使うかも…ぐらいなのです。

Ver.9.5以前のVari AudioとMelodlyneとで比較したとき、どこがMelodyneの方が優れていると感じるかと言いますと、ビブラートの補正の加減がMelodyneの方が音楽的であること。

ピッチドリフトツールについても、Vari Audioの方が極端にかかるので、いわゆる「ケロ声、ロボ声」になりやすく、Melodyneは、ピッチがややしんどい歌データでも、結構自然に直せてしまうというところに利点があります。

しかし、Melodyneにも欠点があり、一度ピッチ解析のために再生して取り込む必要があるため、急ぎでピッチを直したいときも、取り込むために実時間待たなければなりません。

その点、Vari Audioを数クリックですぐピッチ修正に取りかかれるので、Vari Audioのかかり方がもう少し音楽的であってくれれば…と思っていました。

Cubase 10では、このVari AudioがVer3にアップグレードしたことによって、使い勝手やビブラートだったり、ドリフトのかかり具合がもう少しMelodyneに近づいてくれるか、それを超えるようなものになったら嬉しいな…と期待したいところです。

なお、Vari Audio3からフォルマントとボリュームがMelodyneと同じように1音単位で変えられるようになったのは、歓迎される新機能だと思います。

特にボリュームは、何だかんだ波形を切って、リージョン単位でゲインを上げた方が個人的に早いと思っていました。(古典的なやり方ですが…)

これがVari Audio3のおかげで作業が楽になることが期待出来ます。

興味があるもの2「オーディオアライメント」

オーディオアライメント機能は、ボーカルダブを作る時に自動的にタイミングを合わせてくれる便利な機能のようです。

ボーカルダブは、私の場合、メインボーカルのテイクを作る上で不採用になったテイクを使って作ることが多いのですが、とにかくタイミング合わせが大変だったりします。

楽曲コンペに提出するデモだったり、アレンジの仕事では、メインボーカルの厚みを出すためだったり、グループが歌っているイメージを一人の仮歌でイメージしてもらうためにダブルにするということはよくやることですので、作業効率アップに助かりますね。

興味がないもの「チャンネルストリップのUI変更」

確かCubase7あたりからだったと思いますが、Cubaseのミキサー画面は、「Mix Console」と名前を変え、UIが変わりました。

そこからチャンネルストリップ機能も付いたのですが、これらは私はVer.9.5になっても全く使っていないのです…。

というか、邪魔なので非表示にしてしまっている…。

なぜかと言いますと、最大の不満は、チャンネルストリップ内のEQでして、かかりがあまり良くないのです。

1〜2dbの微調整に使おうとするにはかかりが悪いし、グッとブーストするとピーキーな音になりやすい。

でも、それもそのはずだと思うのが、チャンネルストリップのEQは、無料版のCubase AIから使えるというところで、Cubase Proになりますと、「frequency」というEQプラグインがインサートで使えるようになります。

Cubase Pro EQプラグイン frequency

Cubase Pro EQプラグイン frequency

「frequency」はサードパーティのEQプラグインと比較しても引けを取らない使い勝手とクオリティーを持っているため、個人的にチャンネルストリップ内のEQは、わざわざEQプラグインをインサートしなくても使えるという利点はあるものの、それほど力を入れて開発してないのかな…と、ちょっと勘ぐってしまうのですよね。

そのため、チャンネルストリップが便利であることをユーザーに認知させるためには、チャンネルストリップに「frequency」くらいのクオリティーは持たせても良いのではないか…と思ったりします。

また、Cubaseのチャンネルストリップは、DTM初心者ユーザーからすれば、「著名なミックスコンソールを再現したものなんですよ」と言っても、「それってすごいことなの?」となりますし、DTM上級者ユーザーからすると、好みのサードパーティーのプラグインエフェクトをインサートして音作りやミックスをしているというのが実情だと思いますので、個人的には少し中途半端なところに落ちてしまっている気がしています。

Cubase 10は買いか?

これからDTMを始める方

これからDTMを始める方はCubase 10から始めることになりますので、もちろん買いです。

Cubase 10の新機能がどうか…という前に、Cubaseは元々どのような音楽ジャンルの楽曲制作にも対応する懐の広さを持っていますので、Cubaseを買ってしまったからあれが出来ないこれが出来ない…というようなことはありません。

ぜひCubaseを最初のDTM,DAWソフトに選んでいただき、曲作りの楽しさを体験していただければと思います。

Steinberg Cubase 私がCubaseのココを気に入って使い続けている2つの理由

Cubase初心者の方

既存Cubaseユーザーでかつ、それほど深い使い方はまだまだ…という感じのDTM初心者ユーザーの場合、私はCubaseをアップグレードする資金をサードパーティのソフトシンセに回した方が楽曲クオリティーをダイレクトに引き上げることが出来ると思っています。

Cubase 10の新機能は、どちらかと言うとハイアマチュアの方や、プロの方に「あそこで時間がかかってたのが早くなるかも…」という期待を持たせる感じの新機能が多いように感じますので、DTM初心者ユーザーの方が急いでアップグレードしなければならないとは個人的には思いません。

Cubase7以前をお使いの方

Cubase7以前のユーザーの方は、コードトラックですとか、コードパッドといった、作曲支援機能がここ最近のアップグレードで増えましたので、「あっ、こんな機能増えたんだ!!」と楽しめると思いますので、そろそろアップグレードをご検討されてみてはいかがでしょうか?

Step One DTMスクール自由が丘教室のレッスン受講者様には、Cubase AIをお使いの場合は、まずはCubase Proへのアップグレードを検討していただき、既にCubase ArtistとProのVer.9.5以前をお使いの方については、OSの対応状況が問題にならなければ、最新バージョンへのアップグレードより、サードパーティのソフトシンセやプラグインエフェクトを購入してみると良いと普段アドバイスさせていただいています。

DTM講師

参考 Steinberg Cubaseについてさらに詳しくSteinberg公式サイト